第1回 社会問題研究会―災害と宗教 震災関連特別報告会
常勤教授 阿部宏貴
智山伝法院では去る6月13日(月)震災関連特別報告会を開催し、淑徳大学教授の藤森雄介先生に「東日本大震災における仏教の果たした役割と課題」というテーマでご講演いただいた。藤森先生は東日本大震災後、以下のアンケート調査に携わってこられ、詳細な調査結果や分析についてはすでに全日本仏教会のホームページ上で公開されている。(http://www.jbf.ne.jp/news/newsrelease/1574.html)。
①「東日本大震災における日本仏教各宗派教団の取り組みに関するアンケー ト調査」
(平成24年1月。59団体中42団体より回答)
②「被災地寺院の教訓を今後の寺院防災に活かす聞き取り票」
(平成24年7月。93寺院中34寺院より回答)
③「平成23年3月11日東日本大震災における仏教系各種団体の震災支援に関 するアンケート調査」
(平成24年10月。161団体中65団体より回答)
今回は、その分析結果と課題を提示していただいた。宗派や寺院における災害時への備えという点で課題をまとめると、宗派は今後の災害に向けて小規模な支援団体との連携や情報交換を行う仕組みを築いておく必要があり、各寺院は避難者の受け入れを考慮し、行政や公的機関との連携体制を整えておく必要がある。そして、双方が日常より講習会や勉強会を設けて災害に備えておくことも重要であるという内容であった。
現在、藤森先生はこれらの課題に取り組むべく、淑徳大学のプロジェクト「アジアのソーシャルワークにおける仏教の可能性に関する総合的研究」において、寺院や支援団体の情報共有の場としての「仏教プラットホーム(仮称)」の構築を目指しているという。プロジェクトの詳細については、同大学付属機関アジア仏教社会福祉学術交流センターのホームページを参照されたい。(http://www.shukutoku.ac.jp/shisetsu/asiancenter/)